サンマ漁、過去50年で最低

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秋の味覚「サンマ」の漁の出足が、大不漁となっている。今秋に日本近海に来遊する量の予測からその恐れは出ていたが、現実になってきた。スーパーや飲食店はサンマの確保に四苦八苦し、店頭の値段も上がって食卓に影響が出ている。

サンマの水揚げ量日本一を誇る北海道・根室の花咲港。秋の漁が8月上旬、小型船を皮切りに解禁、同月16日までに戻ると衝撃が走った。水揚げはほぼゼロ。22日に中型船が実質的に「初水揚げ」をしたが、その量は17トンで、昨年の120トン強を大きく下回ったそうだ。

26日に大型船の帰港が始まったが、昨年のこの時期の量には及ばない。サンマ漁船の古林勲機関長は、「魚群がなかなかいないうえ、魚体も小さめ。例年になく漁は厳しい」と話す。
毎年恒例の「根室さんま祭り」にも暗雲が漂う。9月21、22日に開き、会場で箱詰めの生サンマを販売して開催費に充てる計画だが、不漁で必要量を確保できるかがわからない。実行委員会の関係者は、「来年以降は開催時期を後にずらすことも考えないといけない」と頭を抱えているそうだ。

宮城県気仙沼市の気仙沼港では8月27日に初水揚げがあり、60トンを超えた昨年の1割強の8トンだった。6割が130グラム未満と小さい魚が多い。
東京・目黒駅前で9月8日に開かれる「目黒のさんま祭り」は今年、炭火焼きのサンマを冷凍物にすることに。毎年生サンマを送ってくれた岩手県宮古市が、不漁で祭りに必要な7千匹を確保できなかったそうだ。

祭りのサンマは、「専門店や料亭でもなかなか味わえない『トップクラス』の味」と新鮮さを売りにしてきた。急きょ、北海道産への切り替えも検討したが、脂の乗りが良いものを集められなかったという。祭りの実行委員長の中崎政和さんは、「今回で24回目だが、こんな事態は初めてだ」とため息をついているそうだ。