外務省職員としての在外公館における経済協力の仕事について
今日、私たちはグローバル化した社会の中で遠く離れた人々とも互いにつながって生活しています。このため世界の各地で発生するさまざまな問題に私たち日本人も無関心ではいられず、国力に応じた対応が求められています。その中でも、国際的に重要となっているのが低開発国の貧困問題です。特に、アフリカのサブ・サハラ諸国(48か国)では、絶対的貧困や社会的格差が極端に大きく、人間として個人の尊厳が無視されたまま生活せざるを得ない人々が約50%いるといわれています。これらの人々は毎日1ドル以下の生活を送っているのが実情です。
日本政府はこの問題への取り組みを外交の重点課題の一つとしており、外務省は各地で深刻化する貧困問題に対して、外交的的観点から経済協力を通じて解決に協力する主管官庁です。海外では、大使館等を通じて経済協力の国際約束の締結および政策的な推進等の活動を行っており、貧しい途上国の最前線で額に汗を流して孤軍奮闘しているのが大使館の経済協力班に勤務する館員です。
経済協力班館員は得意とする語学を駆使して、相手国政府との政策協議や交渉、欧米諸国の館員との協議,さらには世銀、IMF,UNDP等国際機関の職員との調整を日々の職務として行っています。この結果、これらさまざまな国の人々との間で仲間意識から親しい交友関係が生まれる機会も多くあります。さらに現地の実情を把握するため積極的に地方に出張することも多く、現場の状況を把握したうえで実現が必要と考えるプロジェクトの形成を行うこともあります。その結果を踏まえ、大使館として援助案件の決定や援助方針の策定が行われるので、経済協力担当官にとって非常にやりがいのある仕事です。
このような経済協力分野を担う館員の働きによって、日本政府が実施する各種の経済協力プロジェクトが実現し、被援助国の経済発展に貢献しています。このような経済協力は、途上国政府や国民から深く感謝され、日本との友好親善関係の強化に寄与しています。今後も日本政府は欧米諸国とは一味違う現場のニーズを踏まえた「日本的な援助」を実施することとしており、経済協力を担当する館員は使命感を持って日々の仕事を担っています。
みなさんも、さまざまな国の人々と協働する世界に飛び込んでチャレンジしたいと思いませんか。