喜治塾新聞67号(2004年5月31日発行) | |
特集【面接試験の流れ(県庁の面接試験再現)】 |
今回は、県庁の面接試験について紹介します。山梨県に合格したFさん、沖縄県に合格したGさん、高知県に合格したHさんの昨年の面接試験の再現、留意点などを掲載します。
喜治塾新聞では「面接対策特集」を続けていますが、まずは1ヵ月後の1次試験を高順位で合格するよう、がんばりましょう!
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●県庁の人物試験
県庁の人物(面接)試験は、個別面接と集団面接・集団討論などを組み合わせて実施されるケースが多い。このあと紹介する3名の合格者も、昨年の試験で集団討論を経験している。
集団討論とは、5〜10名程度のグループで、与えられた課題について討論を行うもの。試験官は討論には加わらず、その様子を見て評価を行う。時間は30分〜1時間程度。課題は「高校卒業者のうち就職を希望する者の実際の就職率の低下について」「インターネットのメリット・デメリットを踏まえて、今後の情報化社会のあり方についてどうあるべきか」「電子自治体についてどう考えるか」「地方自治における住民参加の意義とその課題」「小学校での英語教育の導入について」「地域や図書館の果たすべき役割と『子どもの読書離れ』対策」など多岐にわたる。
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●山梨県の面接試験再現(Fさん)
・自己PR(二分間)
【私】私は、目標を一度定めたら達成するまで粘り強く、最後まであきらめずにやる性格であると自負しております。
以前シアトルに3ヵ月間語学留学しておりました。しかしアメリカに渡った当初、相手の話す英語が全く聞き取れず、また私の英語も全く通じませんでした。そのため何度も日本に帰ろうと思ったり、学校の授業を休んでしまおうと思ったこともありました。でも、ここで挫折してしまったら自分に負けたことになりますし、目的を果たさずにあきらめてしまうので、わからないところは職員室のようなところまで聞きに行くなど必死に勉強しました。最終的には、英作文のクラスで成績1位をとったり、また卒業式のときに学校の私のクラスの代表として、全生徒の前で英語で演劇をやり、しかも主役を任されるまでにいたりました。
行政の仕事は粘り強くやらないとならないことがたくさんあると思います。それらも持ち前の粘り強さで頑張りたいと思います。
そして留学していたということもあり、私は国際感覚も養われていると思います。実際にそのときに出来た友達がアメリカや韓国、台湾などにいて今でもメールで近況を報告しあうなどしています。これから国際社会が形成されていくと思いますが、持ち前の国際感覚でそれに対応した仕事もこなして行きたいと思っています。
【面】最近感動して涙を流したことがあるか。それはどんなことで流したか。
【私】はい。留学していて私が帰ることになったとき、クラスメートや友達がお別れパーティーを開いてくれました。とても楽しい会で、皆が私との別れを惜しんでくれました。そのとき、パーティーを開いてくれて純粋にうれしかったことと、私には国境を越えた友人がいるのだと言うことに感動し、少し泣いてしまいました。
【面】自分のどんなところが公務員に向いているか。
【私】私は大学でゼミ長を務めておりました。その際主にゼミのまとめ役として、皆を公平に見るようにしてきました。実際に教官に感謝されるほどよくまとめてこれたと思います。そういった能力で職場をまとめ、また住民の皆さんとも公平な立場に立って仕事が出来ると思いますので、そういった点が向いていると思います。
【面】情熱・熱意をもって仕事ができるか。
【私】はい。私は友達にもよく『熱い男』だと言われます。なので情熱をもって仕事が出来ます。
【面】友達の中でどのような位置づけにあるか。
【私】よくムードメーカーであると言われます。古くからの友人とよくお酒を飲むのですが、私がいないと場が盛り上がらないと言われます。私は自分としてもひょうきんな性格であると思いますので、あたっているかと思います。
【面】上司と意見がぶつかりあったらどうするか。
【私】最終的には上司の意見に従うと思います。上司は仕事でも人生でも経験が上だからです。しかし、納得がいかないところは、いくまで議論すると思います。
【面】嫌いな上司とどのように付き合うか。
【私】仕事の上ではその嫌なところは見ないようにして付き合いたいと思います。仕事に私情を挟むのは良くないと思いますし、また一度嫌なところが見えてしまうと、その上司のやることすべてが嫌になってしまうかも知れないからです。
【面】趣味は何か。
【私】家具作りです。ただ、今は勉強で時間がないのであまり作っていません。
【面】なぜその趣味をもったのか。
【私】たまたま雑誌で見た家具が、とても良い物で欲しかったのですが、とても高価な品物でした。そこで自分で作ってみようと思って、実際作ってみたら意外にうまく行きました。それからよく作るようになりました。
【面】最近関心をもったことは何か。
【私】はい、パレスチナ問題です。
【面】なぜそれに関心をもったのか。
【私】パレスチナ問題は、根底に宗教的な問題や民族的問題が横たわっています。こうした問題は日本人にはあまりなじみがないことではありますが、これからの国際社会においてはこれらの問題が起こりかねません。ですから今のうちから私たちはこうした実例を学んでおくべきです。そういった意味でとても関心をもっています。
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●沖縄県の面接試験再現(Gさん)
【面】これから県上級行政Tの二次試験を始めます。
面接までの時間、何を考えていましたか? 待ち時間、長かったでしょう。
【私】(2時間待ち)いろいろと面接のシミュレーションを自分の頭の中でイメージしていました。
【面】そうですか。(と、なごやかな雰囲気)集団討論ではたくさん意見を述べたようですが、対策はしましたか。
【私】はい。予備校で2回ほど模擬の集団討論をしてきました。
【面】どういった予備校ですか? どういうふうに勉強をしてきましたか。
【私】(喜治塾について説明。試験官が興味津々な印象があった)←2〜3分くらい話した。
【面】大学ではどういうことをしてきましたか?
【私】(早稲田大学や人間科学部スポーツ科学科のことを説明。アルバイトもたくさんやってきたと話す)
【面】どういうアルバイトをしてきて、何を学びましたか。
【私】(アルバイトのことを話す)←2〜3分くらい。けっこう熱く話す。
【面】県庁では何がしたいですか。
【私】(自然保護や健康づくりなど、志望動機めいたことを話した)
【面】仕事の中で、自分1人では解決できない、あるいは処理できないほどの仕事を任されたらどうしますか。
【私】先輩や前任の方に話をうかがい、もし仕事量が多ければ、事情をきちんと説明して、先輩や同僚に手伝ってもらうようにお願いします。
【面】あなたは、精神的なストレスを解消するためにどんなことをしますか。
【私】自分はスポーツが好きなので、友人とスポーツをして楽しむ時間をつくります。
【面】そうですか。これからもそういった友達を大切にしてください。最後に、1分間時間をあげますので、自己アピールをしてください。
【私】(用意した自己アピールでなんとかクリアした)
【面】それではこれで、面接試験を終わります。機会があれば、来年から是非、一緒に働きましょう。
● 気づいたこと
・2次試験の面接対策や、面接カードを書き始めるのをもっと早くから始めれば、直前であせらずにすんだかもしれない。
・面接対策のための時間をつくるのに苦労した。
・面接対策は、自信にもつながるので、絶対にやるべき。
・集団討論は、楽しみながらやるべき。
・国IIの試験では、本命の県庁がだめだったという落ち込みから、本番1週間前は1日10時間以上テレビを見ていたけど、なんとか合格できた。しかし、これは運が良かったということもあるので、何があっても最後まであきらめないようにすること。きりかえを早めにすることが次のステップにつながると思う。本当に何があるかわからないので。
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●高知県の面接試験再現(Hさん)
(1)個別面接
【面】(面接カードの方を見ながら)今年の3月に大学を卒業されたそうだが、それから今まで何をしていたのか?
【私】昨年の秋から今年6月まで公務員試験の勉強をしていたことを話す。
【面】昨年には公務員試験は受けたのか?
【私】昨年の大学4年次には民間の就職活動をしていたことを話す(この件に関しては、「民間の就職活動をしてみてどうであったか?」など更に突っ込んだ質問が来るものかと思っていたが、触れられず)。
【面】サークルの方では、広報活動を担当していたようだが、その経験を通して感じたことはあるか?
【私】与えられたこと、マニュアルにあることをただこなすのではなく、自分から積極的に動くことの大切さを実感しました。たとえマニュアルにあることでも、それが自分にとって無駄だと感じることならば、潔く切ってしまうことも大事だと思いました(以下、その具体例を話す)。また、役職はもう一人の同輩とやっていたのですが、やり方をめぐって、意見がぶつかることもありました。そのような場合に、互いに納得するまで話し合い、意見をまとめることも学びました。
【面】行政においても、様々な意見を調整していかなくてはならない機会が多々あるが、その場合あなたならどうするか?
【私】そのような場合においても、住民の方に納得いただけるまで話し合わなければならないと思います。
【面】だが実際、租税事務所の職員が、税を滞納している住民のところに赴くと、刃物が飛んでくるといった話も聞くが、それでもあなたは説得するのか?
【私】困難な問題だとは思いますが、住民を説得できるのはやはり行政だけしかないと思います。だから赴いてできるだけ納得していただけるように説得すると思います。
【面】(現在住んでいる)東京と高知との違いとは何か?
【私】教育機関や各種施設の充実の点がまず挙げられると思います。また、自分の今住んでいる地区は高齢者福祉対策が充実していて、お年寄りがよく利用する施設を通るバスや、ノンステップバスが多く走行しています。ノンステップバスは高知では見ないですが、導入すれば、元気なイメージのある高知のお年寄りをバスで行動範囲を広げることにより、ますます元気付けることとなり、良いのではないでしょうか。
【面】大学では国際関係学を学んできたそうだが、実際、県庁の仕事ではあなたが学んできたことを直接活かせることは難しいと思うが?
【私】大学の所属していたゼミナールでは、国際社会で起こりうるさまざまな問題を平和的に解決または予防していくにはどのような方策を採りうるべきかを多様な視点から探ってきました。確かに直接学んできたことを活かすのは難しいですが、多様な視点から問題を探り、解決に導いていくという姿勢は、公務員の仕事でも活かせると思います。
【面】大学の専攻に関連してだが、最近、県庁の方でも国籍条項撤廃の問題について議論がなされてきた。あなたはこの問題についてどう考えるか。
【私】日本人が気付かない、在日外国人ならではの視点があると思う。行政は、多様な視点から物事を見ることが必要。だから国籍条項を撤廃するのには賛成、といったことを答える。
【面】その人達がライバルになるとしても賛成であると言えるのか?
【私】賛成と答える(その理由を何と言ったかは覚えていないのだが…)。
【面】最後に、(同じ日に面接の前に集団討論があったので)さっきの集団討論で見ていて思ったのだが、なぜあなたが司会進行役をひきうけなかったのか?
【私】思ってもみなかった質問であったので、返答に困ってしまった。その様子を見かねて、質問をした面接官の方が、「あなたは司会役よりも、意見をどんどん言っていくのが好きなんだね」といったことをおっしゃったので、そうですと返した。
●このほかにも、併願状況(結構突っ込まれて聞かれた)、新聞は読むか、最近印象に残った記事は何か、といったことを聞かれた。
●気づいたこと・感想・反省点
突っ込んだ質問もあったが、圧迫面接ではなく、和やかな面接でした。直前に集団討論もあったので、初めての面接でしたが、思ったより緊張せずに受けることができました。県庁の面接のあと、特別区の面接と国IIの人事 院面接も受けたのですが、共通していたことは、
・既卒であったので、大学で所属していたゼミナール、卒論についてはこちらから口にすることのない限り、聞かれることはなかった。ただ、卒業してから何をしていたかは必ずといっていいほど聞かれる。
・知識よりも、受験生の思考・判断力を見る質問が多かったこと。例えば、面接カードに記入した自己PRのエピソードから、「あなたはその経験から何を学び、公務員の仕事にどう活かせるか」といった具合。
あと、どの面接も、面接カードをもとに進められたので、自分がアピールしたい方向に誘導していくような記入の仕方が大事だと思いました。また、自分がこれは言っておきたい! ということがあっても、一気に喋ってしまうのではなく、面接官の反応を見ながら小出しに言っていくべきだと思います。聞かれてもいないことまで話してしまうと、突っ込まれてそのことだけに時間をとってしまう可能性があるからです。