<特集>

秋の公務員試験に合格する!
市役所・警察官


これから秋にかけて本格化する警察官試験、市役所試験。
一 公務員試験はかなり難しく、これから勉強をしても間に合わない
二 市役所はコネがなければ採用されない
このような俗説に惑わされることなく、自分の将来の職業として真剣に検討してほしい。今回は今秋の公務員試験に向けての対策・アドバイスを紹介する。


1)今からでも間に合うか

 本当のことを言えばこれは少しニュアンスが違う。「今から間に合わせる」のだ。様々な受験生の合格・不合格を目にし、また私自身の現職時代のまわりの公務員たちのことを思い浮かべてみて、1ヵ月ほどの時間が残されている今から間に合わせようとすることは、それほど「無茶・無謀」な試みとは思えない。

2)コネなどいらない

 先日、医学部の入試の件で「そういうことはよくあることだ」といって副大臣が更迭された。また塩爺は「国民は何でも政治家に頼めば何とかなると思って何でも頼みにくる」とのたもうた。
 もしかしたら、コネはあるのかもしれない。しかし、冷静に考えてみてほしい。そんなことだけで複雑な行政活動を運営する人材や、命をかけて市民を守る警察官を採用できるのか。コネがあるとかないとか騒いだところで、ないのであればしようがない。そんなことを気にせず自分の実力をつけるしかない。それだけのことだ。

3)受験する試験の出題を確認せよ

 市役所によっては、専門科目の試験があるところ、ないところがあるので、それを確認しておかなければならない。警察官試験は、教養科目試験だけである。

4)重要なものから優先する

 全部やるのではなく、重要なものから優先的に対策をとること 。「重要なもの」は人によって違うはずだ。過去出題された問題が掲載されている問題集を大きな書店で入手し、まずは自分なりにやってみる。何とかできそうなもの、まったく歯が立たない科目等々、自分の現時点での実力との差を確認することから始める。
 ここでは、全然わからない。どの科目もわからないという人のために教養科目の取り組み方についての優先順位の一例を挙げておこう。

5)教養試験への取り組み方

 公務員試験の合格点はおおよそ6割くらいと言われている。もちろんその年その年の受験生レベルや採用人数によっても微妙にずれるのであろうが、半分ちょっとできるようになればいいのだと思えば結構気が楽になるでしょう。

1 知能分野
 知能分野は、(1)文章理解、(2)判断推理、(3)数的推理、(4)資料解釈の4科目からなる。

 (1)文章理解 
 この科目はできるようにしておきたい。苦手な人は、とにかく多くの問題にあたって、問題の作り方、ひっかけのパターンをつかんでほしい。英文についてもたくさんの問題にあたり、英文の意味が確実にわからなくても「5つの選択肢」の中から正解を一つ見つけられればいいのだから、その視点で検討を繰り返すこと。今から「試験に出る英単語」などの暗記をしはじめてもそれは的はずれだろう。
 (2)判断推理
 いくつかの分野に分かれているので、分野ごとに指摘しておこう。 論理式・集合・試合・平面図形の問題は簡単なので、ここは確実にできるようにしておきたい。問題集で基礎知識を入れ、いくつか練習しておけば十分だろう。位置関係、対応関係、立体図形、軌跡と呼ばれる問題は難しい。本番でもできない人が多いはずだ。苦手であれば後回しでよい。
 (3)数的推理 
 苦手とする人が多い科目。しかし、苦手な受験生もきちんと合格している。そういう人が苦手を克服して合格しているかというと実はそうでもない。苦手なまま、極端な話、ほとんどできなくても合格しているのが現状だ。基本的な問題だけを準備しておけばよい。
 逆に、数的推理が得意であれば合格への可能性がグッとアップする。中学受験をした人はそのときの勉強がかなりの威力を発揮する。
 苦手な人のために最低限やっておくべき分野を示しておこう。約数・倍数、記数法、虫食い算・覆面算はできるようにしておきたいので、まずは基本的知識を確実におさえること。そのとき、問題集に載っている難しい問題は飛ばしてよい。例題や基礎問題だけを暗記してしまう。難しい問題は、これらの分野の問題というよりは、不定方程式などと絡めた問題になっている。そういう問題は、できなくても心配する必要はないので、解説をみて「なるほどな」と納得しておけばよい。 方程式関係では、平均だけは押さえたい。速さ・割合・濃度にチャレンジできれば上出来だ。とっつきにくければ、とりあえず後回しにしよう。
 (4)資料解釈
 これはできるようになりたい科目だ。資料を読み解く視点、技術がいくつかあるのでそれを習得したい。『資料解釈のコツ』という本がお薦めだ。この本は、現役公務員の昇進試験用の問題集であるが、非常にやさしいところから丁寧に解説してくれている。公務員試験用の問題集は難しすぎると思うので、こちらをお薦めしておく。

2 知識分野
 知識分野は(1)人文科学、(2)社会科学、(3)自然科学と分かれている。数的推理や判断推理で高得点できそうな人は、こちらはあまりできなくても合格しうるが、逆の人はこちらの暗記に力を入れよう。
 まず(1)人文科学
 世界史を中心に知識を固めることで、文学・芸術、思想などに知識を広げていこう。時代的には、近代以降、現代史までは押さえる必要がある。全くやったことがなくて、きつすぎるという人は、喜治塾で高校の世界史Aの教科書を使って整理してまとめていく夏期講習を実施するので利用するとよい。
 時事的問題も結構出るので、時事対策をきちんとやっておくことが重要だ。『速攻の時事』(実務教育出版)、『時事問題の基礎知識』(ダイヤモンド社)などを丹念に当たっておくことは必要だろう。
 (2)社会科学
 警察官の試験は、憲法が中心になっている。憲法の条文の知識と重要な判例の知識が問われる。まずは、とにかく条文の暗記。それに人権分野の判例を付け加えたい。判例つきの六法に掲載されている判例は押さえておくことが必要。
 教養試験の政経分野で出題される経済学について、国家U種や地方上級のテキストや問題集で準備しなければというようなことをいう者もいるが、それは的はずれだ。もちろん大は小を兼ねはするが、そこまでの時間をとるのはあまりにも非効率的だ。予備校などで3時間程度の講義を受講して準備してしまうのが一番現実的だ。
 (3)自然科学
 数学、物理、化学、生物、地学の中で得意な分野があれば、まずはそれだけでも手をつけよう。もし、どれも苦手であれば、とりあえず自然科学全般は後回しで構わない。それより、人文科学、社会科学をきちんとやろう。

3 教養論文試験
 忘れてならないのが、教養論文試験の対策だ。多くの受験生が苦手としているので、少し形式を押さえるだけでもグッと違ってくるはずだ。必要であれば、喜治塾新聞第15号で手がかりを紹介しているので、それだけでもホームページで見ておいてほしい。