特集  2003試験 私の合格法(12)

  横浜市合格  Sさん(2003.2月生)

2月からで充分に受かる!
今年で受かるという、信念をもって勉強すること

2月からの勉強で、志望先の横浜市に見事合格。横浜市独自の試験内容と合わせて、Sさんの短期集中型学習・合格法を紹介する。
●2月スタート

 はじめは半信半疑でしたが、実際私は受かりました。1月中までサークルが忙しかったため何一つ準備もなく、文学部で「地上」が何かも知らない、本当にまっさらな状態から私の受験勉強ははじまりました。
 受験を終えた私の感覚でいえば、2月からで充分に受かります。私の場合は、横浜市役所一本に絞っていたので科目数が少なかったことを差し引いても、2月からでも大丈夫だと思います。本番では面接・論文が失敗ぎみだったにもかかわらず合格できたのは、筆記で高得点できていたのだと思います。こう書くとすごそうに思えますが、「今年で受かる」と信念をもって勉強を続ければ届くレベルの話です。喜治塾の生徒は勉強熱心なので、刺激しあえば、適当にやっている他の受験生をリードできます。
 「自分ははじめるのが遅かった」と思う人は逆に、ライバルより多く勉強以外の経験をつむことができたと考えられます。面接ではさまざまな経験が有利に働きます。横浜市をはじめ、公務員試験も人物(面接)重視の傾向があります。習ったことを忘れない、という利点もあり、おそくはじめることは不利とは言い切れないと思います。もちろん慢心はせず、「人より貪欲にやって逆転してやる」くらいの気迫はあるべきでしょう。

●良かったことと反省点

■途中で横須賀市は同日試験日で併願できないことを知った(×)。
  →賢明な皆さんはちゃんと調べてください。
■昨年の合格者の話から、横浜市の昨年度教養試験には人文・自然科学は出題されていないことを知る(×)。
 →賢明な皆さんはもっと早く調べてください。
■横浜市主催の説明会に出席(○)。
 →市がどこをウリにしているか、どういう人材が欲しいかよく分かる。面接でその時のことを話せば、本気度を伝えることができる。
■地元の図書館(開館9時30分〜17時30分)で勉強(○)。
 →人それぞれ自分の最もやりやすい環境で勉強すべき。生活のリズムになると勉強が苦でなくなってくる。
■模試途中でトイレを我慢して苦労(○)
 →本番では朝から水分を取らず、セーフ。何事も経験。
■試験が近くなってから難しい問題ばかりやる(×)。
 →教養IIで焦ってしまい、以前できたはずの数的の問題が解けなかった。出題のほとんどは基本的な問題。
■本番帰りに友人連れの知り合いに会い横浜受験仲間をゲット(○)。
 →2・3次で本当に助けてくれた運命の出会い。同じところを受験する人は本当に大事。
■本番2日前に、塾長に模擬面接をしてもらう(△)。
 →凹みながらも「言いたいことがよくわからない」という根本的な弱点を知る。模擬が本番だったらと考えるとやってもらって本当に良かった。一次試験後、合格発表があるまで面接対策をする気になれず、時期が遅くなりすぎたのが反省点。合格を信じて先へ意識を向けるべき。
■面接前の控え室は他の受験生を見た(○)。
 →周りはガチガチになっている人が多い。それを見ていると緊張がほぐれる。
■面接官と、とにかく分かり合うように(○)。
 →平易な言葉でいいから分かりやすく。話が通じないのが、一番だめなパターン。答えづらい質問でもごまかさず、真正面から向き合って答えるほうがいい。
■面接で政策の話をする(×)。
 →政策の話で現職にかなうはずがない。できるだけ触れないほうがいいと思う。面接官に振られたら「あまり詳しいことは分かりませんが、悪い頭で自分なりに考えたのは…」くらいのスタンスで話すのがいいのでは?
■遅刻しない(○)。
 →当たり前すぎるが、優秀な知り合いがこれで落ちた。気をつけて。
■論文試験の直前になって、模範文例などを見過ぎない(×)。
 →混乱する。過去に書いた中で、最悪のできとなってしまった。自分が練習で書いたことがあるネタだけで勝負する。そのためには、それなりの練習をして、とっておくといいと思う。
■最後まであきらめない(○)。
 →論文試験中、あまりにも書けず、潔く白紙で出そうかとも考えたが、何とか最後まで書ききった。あきらめなくて良かった。
■誠意を見せる(○)。
 →指定された時間でプレゼンが入るよう、時間を計って練習した。内容はもちろん大事だが、しっかり練習してきたという誠意は伝わったと思う。「時間ぴったりですね」と、面接官に言ってもらえた。
 

●横浜市の試験に関して

■1次試験
●教養I(80分。40問全問解答)
○横浜市に関する問題が2問。
 →市で最近あった出来事や施策は調べておく。職員募集のパンフの中にヒントが多い。
○公務員試験らしくない、クイズのような時事の問題が半分くらい。
 →対策は立てづらいものもあるが、それはできなくていい問題。新聞は人並みには読んでおく。とにかく時事問題がでる。時事用語集を使って勉強するといい。科学、歴史のような問題もあるが、それも時事がらみ。
○残りは古典的な社会科学。広く浅く。
 →民法・社会学も出るが、私はほとんど勉強していない。社会学は必ず出題され、簡単なので、軽く押さえたほうがいい。

●教養II(120分。30問全問解答)
○現代文7問、古典1問、英語7問
 →一般的なもの。私はここまで60分を目安にした。
○数的・判断推理12問、資料解釈3問
 →一般的なもの。難易度は普通で、難しいものは少ないと思う。

■2次試験
●個別面接(20分、面接官2人)
○緊張していますか?
○なぜ公務員になろうと思った? いつごろ?
○公務員もコスト削減で、民間の手法を取り入れているが?(公務員は利益だけでなく……と言ったら)
○併願は?
○なぜ横浜市?
○人口が多いというのは、本当にいいところだと思いますか?(横浜市は規模が大きく……と言ったら)
○横浜独自の政策を知っていますか?(横浜市は独自性があって……と言ったら)
○どこらへんが独自なの?(独自の政策としてG30(ゴミ政策)や……と言ったら)
○緊張しているみたいだね、深呼吸しようか?(答えに詰まっていたのが緊張のせいに見えたらしい)
○横浜市のゴミ対策についてどう思う?
○ボランティアの経験は?
○なぜそのボランティアをしたいのですか?(子どもとキャンプに行くのを募集していて興味がある……と言ったら)
○なぜそれがあなたのためになるの?
○長所に書いてある、面倒見がいいとはどういうこと?
○あなたならではと言える、サークルで達成したことは?

■3次試験(1)
●論文問題(あなた自身のことについて書きなさい。『道は開ける』横書きの原稿用紙で1000字くらい)
●SPI(よくある一般企業用と同じもの。極端に低い人の足切り用で重要性は低いと言われているが、多少の練習は2次試験後でいいから必要。国語は難しい)
●面接カード(何を書くかはその場で聞かされた。昨年まではなかった試み。数日後の面接の冒頭で3分間のプレゼンテーションをしてもらうので、そのレジュメを作る、というものだった。B4の紙1枚の上のほうに『私が作る横浜□□宣言』となっていて、□□の中を好きに埋めて、絵でもグラフでも使ってよく、残りの空白を自由に使いなさいという指定。プレゼン当日はホワイトボードと黒ペンを使用可で、カードと完全に一致した内容でなくてもよい)

■3次試験(2)
●身体検査
●個別面接(25分、面接官3人)
○まずはプレゼンテーションをしてください。
○併願状況は?
○一つしか受けないというのは危険では?
○落ちたらどうするつもり?
○他の人は就職活動をしていたのに、サークルをしていたというのは甘い考えではないか?
○サークルでの経験で、市職員として役に立つものは?
○職業観について聞かせて?
○大学の勉強で、これだけは負けないというものは?
○古典文学の魅力は?
○それは入庁後に役立つか?
○高校時代にお笑いをしていたそうですが、どういういきさつで?
○性格の短所は入庁後に問題になると思うがどうするか?
○面接カードに「アイデンティティー」とあって、難しい言葉だが、どういう意味か?
 いろんなジャンルの話を次々と質問された。すべてに対して正直に、誠実に答えられた。きれいめに答えようとして本心が伝わらないよりは、素直に答えていったほうが印象はいいのではないかと思う。
 合格後に行われた面接を見ても、新人研修用のテキストを見ても、試験段階で求められている完成度は決して高くない。今の自分で勝負していい。1・2次面接を通して、話の内容以上に話し方などが重視されていることを感じた。
 また、なぜ横浜なのか、がポイント。他の公務員ではなく横浜なんだ、という熱意を見せた人が受かったように思う。